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日本における成人式の歴史

皆様こんにちは。高松店の武下です。今回は我が国における成人式の歴史について、わかりやすくお伝えできればと思います。振袖とも密接に関係しているこの文化をさらに深く知ることで、ご自身やご家族がお召しになることへの期待がさらに膨らむことでしょう。このこぼれ話に最後までお付き合いいただけますと幸いです。

1.そもそも成人式とは?

成人式は、古代から続く「元服」や「裳着(もぎ)」といった通過儀礼に起源を持ち、長い歴史の中でさまざまな変遷を遂げてきました。現代における成人式は、戦後の「青年祭」に起源を持ち、1949年には正式に「成人の日」が祝日として制定されました。近年、成人年齢が18歳に引き下げられるなど社会的な変化が続いていますが、成人式は依然として日本の重要な儀式であり、成長を祝う意味を持ち続けています。

現代の成人式は、通過儀礼としての歴史を受け継ぎつつ、地域社会や家族、さらには個人の価値観やライフスタイルに合わせて多様化しています。成人式の本質を理解し、未来に向けてどのように進化していくのかを探ることは、日本の文化や社会の成長を見つめ直すことにもつながります。

2.古代:通過儀礼のはじまり

成人式の起源は、古代中国の成人儀礼「冠礼」にあります。この「冠礼」は、成年に達した男性が成人を祝うために冠をかぶる儀式であり、日本にもこの影響が伝わり、後の「元服」や「裳着」といった儀式に発展しました。

中国の「冠礼」は、男子が成人する年齢になると、冠をかぶり、新しい名前を与えられることで「成人」と見なされる習慣があり、これが日本にも伝わりました。日本では、奈良時代(8世紀)以降、貴族や武士の間で成人儀礼が行われるようになり、特に男子にとって「元服」、女子にとって「裳着」が重要な儀式となりました。

 

男子の「元服」

男子の元服は、数え年で12歳から16歳の間に行われ、成人を迎える儀式として位置付けられていました。この儀式では、髪型を変え、新たな服を着るとともに「冠」をかぶり、新しい名前を与えられました。この時期、武士や貴族が社会的に成人として認められ、名誉ある立場を得るための通過儀礼として非常に重要でした。

 

女子の「裳着」

女子の裳着は、成人を迎える儀式であり、同じく12歳から16歳で行われること

が多かったです。

裳という特別な衣装を初めて着ることで、女性としての自覚を促す儀式であり、髪型や服装の変化を通じて、成人としての位置づけが行われました。

女子はこの儀式を通じて社会的な責任を担い、

結婚や家庭を持つ準備を整えるとされていました。

3.中世~近世:振袖文化の確立

江戸時代(1603年~1868年)になると、元服や裳着といった儀式は、武士や貴族の間で行われることが多くなり、庶民の成人儀礼はより簡略化されました。しかし、それでも成人を祝う儀式は重要な意味を持ち、武士や庶民が成長を祝うために行っていたことには変わりありません。

 

武士と公家の元服

江戸時代における元服は、武士階級の男子にとって、家督を継ぐための重要な儀式でした。元服によって、男子は成人として社会的に認められ、家族や社会における地位を確立することができました。また、この時期の元服は、一般的に数え年15歳頃に行われ、髪型や服装に大きな変化がありました。

 

女子の成人儀礼

女子は、成人を迎え

ると「振袖」を着るようになり、未婚女性としての正装として定着していきました。この振袖の起源は、江戸時代にさかのぼり、当時は振袖が未婚女性にとっての最も格式の高い衣装とされました。

江戸時代の後期には、振袖文化が確立され、成人女性にとって欠かせない衣装として広まっていきました。

振袖は、袖が非常に長く、華やかな模様や刺繍が施されており、成人女性としての自覚を表現する衣装でした。振袖は、成人を迎えた女性が社会的に認められ、婚姻の準備を整えるために着用されることが一般的となりました。

4.近代:成年=20歳と定義

明治時代に入ると、成人年齢が法律で定められるようになりました。日本では、1873年に徴兵令が制定され、これにより成人年齢が20歳と見なされるようになりました。この頃から、20歳は成人として認められる年齢とされ、成人儀礼の対象年齢が統一されるようになりました。

その後、1896年に民法が制定され、成人年齢が20歳として正式に法的に定められました。この20歳という年齢は、戦後の成人式においても維持されることとなり、成人式は20歳を迎えた若者たちを祝う重要な儀式として位置づけられました。

5.戦後:成人式の再興

現代の成人式は、戦後の1946年に埼玉県蕨市で開催された「青年祭」に起源を持ちます。この「青年祭」は、戦後の混乱と閉塞感の中で、若者たちを励ますために地域の青年団が主催したものであり、これが成人式の原型となったとされています。

この「青年祭」は、成人を迎える若者たちに新しい社会的役割を認識させることを目的としており、蕨市では現在も成人式の発祥地として記念碑が建てられています。この後、全国で成人式が行われるようになり、成人の日が祝日として定められることになります。

また、和装業界は成人式の振袖需要に着目し、百貨店などを中心に振袖文化を急速に普及させました。成人式における振袖着用が広まるにつれ、振袖関連市場は拡大し、現在では成人式市場だけで700億円規模の産業となっています。

6.現代:式典の多様化

現代では、成人式は自治体によって異なる形式が取られるようになっています。多くの自治体では、成人式を大規模に開催し、式典に参加した後、記念講話や祝辞が行われます。また、成人式には、家族や友人が参加することが一般的であり、再会の場としても重要な意味を持っています。

一方で、成人式の参加スタイルも多様化しており、振袖を着る女性、スーツを着る男性、または、カジュアルな服装で参加する人も増えています。さらに、成人式のプログラム内容や場所も自治体ごとに異なり、近年ではディズニーランドで成人式を行う自治体も登場するなど、より個性的な式典も増えています。

7.振袖をお召しになるにあたって

ママ振コーディネート

ここまでご清聴いただき、ありがとうございます。
「人と成る」と書いて成人と示すように、青少年たちの成長を喜ぶ行事として名を変え形を変え受け継がれているもの――それが成人式です。天災や戦火を超えて輝き続ける人の営みの中に、私たちも確かに含まれていることを実感させてくれるものでもあるでしょう。一生に一度のお祝いとして、そして文化の継承として、ぜひ振袖をお召しになってみてはいかがでしょうか。

きものサロン桂 貴迎館

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