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大正浪漫フォトスポット~高松市内編~

皆様こんにちは。貴迎館の武下です。

成人式まで半年を切り、前撮りをどこで行おうかと思案する方が増えています。「せっかくの節目なら特別感のある場所で撮りたい」「振袖を映えさせたい」「自身の魅力を最大限に引き出したい」こういった基準でフォトスポットを選ばれることでしょう。しかしながら、これら全てを叶えてくれる理想の場所にはなかなか出会えないこともままあります。

そこでおすすめしたいのが、高松市内にある「旧御殿水源地」です。大正浪漫の情緒漂う佇まいは、まさに和洋折衷の極北。県内においてはこの上ない選択肢と言えるでしょう。今回はこの施設について、様々な角度から解説いたします。

1.大正時代の美しい近代建築

 

高松市郊外に静かに佇む「旧御殿水源地」。その敷地内には、大正6年(1917年)から翌年にかけて建てられた事務所棟、喞筒場(ポンプ場)、倉庫などの建造物が、まるで時が止まったかのように現存しています。訪れる者は、現代の喧騒とは一線を画した「静寂の美」を体感できることでしょう。

これらの建築物は、大正初期の近代建築の面影を色濃く残しており、赤レンガの基礎に白壁、青みがかった屋根瓦が絶妙なコントラストを描きます。洋風と和風が融合したようなそのデザインは、近代日本が欧米技術を受け入れつつも、自らの美意識を失わなかった証です。

さらに驚くべきは、これらがすべて高松市の近代水道創設期に実際に使われていたという事実。単なる装飾建築ではなく、当時のライフラインそのものであり、だからこそ今でもその構造美には「機能美」という説得力が宿っているのです。

2.文化財にも登録された価値ある建物

旧御殿水源地は単なる古い施設ではありません。国の「登録有形文化財」として認定された、れっきとした文化財です。平成9年(1997年)には喞筒場と事務所が登録、さらに平成28年(2016年)には倉庫や埋渠人孔など、追加で4件が登録され、現在では6件の建築物群が文化財として保護されています。

文化財登録における評価のポイントは、「歴史的意義」「建築技術」「保存状態」「地域性」の4点。旧御殿水源地は、これらすべてを高次元で満たしていると言えます。

まず、歴史的意義としては、大正時代という日本の近代インフラ整備が本格化した時期に建設されたという点。そして、建築的には、擁壁や門柱といった細部に至るまで、当時の施工技術がそのまま残されており、修繕も最小限で済むほど良好な保存状態を保っています。

地域においても、旧御殿水源地は高松市民にとって「水道のはじまりの場所」として深い記憶に根差しており、今なお誇りをもって語られる存在です。

 

3.資料館として充実した展示と機能

旧御殿水源地の見どころは、美しい外観だけではありません。喞筒場(ポンプ場)は「高松市水道資料館」として一般公開されており、内部には水道に関する貴重な資料や展示物が整然と並んでいます。

館内に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは巨大な送水ポンプ。これは明治期から大正期にかけて実際に稼働していたもので、その存在感と重厚感には圧倒されます。「こんな機械で当時の水がまちに届けられていたのか」と想像するだけで、時間旅行をしているような気分になります。

さらに、江戸時代に用いられていた木樋(もくひ)や、明治の土管など、時代を超えた水道設備の実物展示もあり、子どもから大人まで幅広い年代が楽しみながら学ぶことができます。配管の仕組みや、水源から蛇口までの水の旅を模型で再現したコーナーも大変わかりやすく、教育施設としても優れています。

職員によるガイド付きツアー(要予約)もあり、詳細な解説を受けながら館内を回ることができる点も高評価。水道という“当たり前の存在”に感謝する心を育む、学びの空間です。

 

4.安全かつ美しい保存状態

歴史的建造物にとって常に課題となるのが「保存と安全性の両立」です。旧御殿水源地においてもこの課題は例外ではなく、2017年から数年にわたって大規模な耐震補強工事が行われました。

工事において重視されたのは、「文化財としての外観を損なわない」こと。そのため、内部に設置する制震ダンパーや鉄骨フレームも極力目立たないよう配慮され、建物の美観は一切損なわれていません。さらに、施設の耐震性能は現行の耐震基準を満たすレベルまで向上し、万一の地震にも対応可能となりました。

バリアフリー化も進められ、車いす利用者や高齢者、乳児連れの家族でも安心して訪れることができます。旧事務所には授乳室や多目的トイレも新設され、観光施設としての快適性が格段に向上しました。

歴史を未来へつなぐために必要な“見えない努力”が随所に施されている点は、まさに現代の保存活動の模範といえるでしょう。

5.注目される“映えスポット”

 

近年では、旧御殿水源地が「映えるロケーション」として、カメラマンやインフルエンサーの間で注目を集めています。白とブルーの爽やかな外観は、晴れた日の青空と絶妙に調和し、まるで海外の建物のような雰囲気に。

結婚式の前撮り、成人式の記念撮影、さらにはコスプレやファッションスナップの撮影スポットとして、年間数百件の利用実績があるとのこと。特に、和装と大正ロマンの洋館との組み合わせは、他では味わえないユニークな絵になります。

さらに、施設の一部はイベントスペースとしても貸し出されており、地元の手作り市やアートイベント、子ども向けワークショップなどが開催されています。静かな水源地が、地域コミュニティの交流の場へと変貌を遂げているのです。

「観光資源としての歴史建築」という枠を超え、現代的な使われ方がなされている点も、旧御殿水源地の大きな魅力です。

6.アクセスや設備も万全

振袖前撮り風景

いかに歴史的価値が高く、美しい建築であっても、「行きづらい」「使いにくい」場所であれば観光地として成立しません。その点においても、旧御殿水源地は非常に優秀です。訪れる人々への配慮が至るところに行き届いています。

まず、立地とアクセスについて。旧御殿水源地は、JR予讃線の「香西(こうざい)駅」から徒歩約30分と、やや距離はあるものの、バスや車でもアクセス可能です。最寄りのバス停「郷東橋」からは徒歩20分ほど。自家用車の場合は、高松檀紙ICから約15分、高松西ICからも約20分で到着します。

敷地内には無料駐車場が完備されており、10台程度の普通車が駐車可能。障がい者用スペースも確保されています。観光施設としては小規模ながら、駐車場の整備は訪問者にとって非常に大きな安心材料です。

さらに、館内はバリアフリー設計が施されており、スロープや手すり、広めの通路が配置されています。2020年以降に増築された新エリアには、多目的トイレ、授乳室、オムツ交換台なども完備。小さなお子様連れの家族でも、快適に過ごすことができます。

また、無料Wi-Fiが提供されているのもポイント。資料館の展示を見ながらその場で調べ物をしたり、SNSでその魅力をリアルタイムで発信したりと、現代的な楽しみ方も可能です。

このように、旧御殿水源地は「文化財=堅苦しい」というイメージを打ち破る、親しみやすさと利便性を両立した観光資源なのです。

7.地域活性と保存の循環

・旧御殿水源地の真価は、「保存された文化財」にとどまらず、「地域に開かれた空間」へと進化し続けている点にあります。これは、単に古い建物を残すだけでなく、“活用”を通じて未来に継承していくという、新しい価値観の体現でもあります。

その一環として、香川県広域水道企業団は、2020年代に入り「サウンディング型市場調査」というユニークな取り組みを実施しました。これは、民間事業者に対して「この建物や敷地をどう活用したいか?」という提案を募集する試みで、今後の運営に市民や企業の意見を柔軟に取り入れる姿勢を示しています。

 

・カフェや喫茶店などの軽飲食施設を併設
・ アートやクラフト系の常設ギャラリーとしての活用
・ 子ども向けの「水の科学教室」の定期開催
・写真撮影や映画撮影のスタジオレンタル
・ 小規模結婚式や市民イベントの会場提供

 

こうした活用が進めば、旧御殿水源地は「見る文化財」から「使われる文化財」へとシフトし、地域コミュニティと経済の活性化にもつながります。しかも、そのすべてが文化財の保存活動とリンクしている点が非常に画期的です。保存と活用、文化と観光、過去と未来。そのすべての接点に立ち続けています。

温故知新を地で行くこの旧御殿水源地で、一生に一度の光景を写真に収めてみませんか。

きものサロン桂 貴迎館

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